いよいよ、この日がやってきました。2006年SG最終戦「賞金王決定戦」の最終日です。
クリスマスイブとディープインパクトのラストランが重なったこの日、競艇界も負けず劣らずの盛り上がり!
快晴の住之江競艇場には「賞金王決定」の瞬間をこの目で見ようとたくさんの観衆が集まりました。
■賞金王シリーズ戦・優勝戦
大一番の前に行われた「賞金王シリーズ戦・優勝戦」。こちらにはSG初優勝がかかった赤岩善生選手が1号艇に座り、期待が集まります。レースは枠なりでスタート。好スタートを決めた2号艇・服部幸男選手が差しますが、バックストレッチで赤岩選手と服部選手が併走状態に。1周ホームストレッチで赤岩選手が抜いて決着します。
SG初優勝を挙げた赤岩選手が表彰式から戻ると、迎えたのは同じレースで3着だった菊地孝平選手。気持ちを切り替えて、仲間の勝利を心から祝福します。その後、地元・愛知の選手を中心に、SG初優勝の水神祭が行われました。
水温8度の水面に、勢いよくダイブした赤岩選手。第一声は「寒い!」。クールな赤岩選手らしく、はしゃぐことはありませんでしたが、仲間や先輩に「ありがとうございましたー!」と男らしく告げ、笑顔を見せていました。
■賞金王決定戦
賞金王決定戦の絶好枠・1号艇を手にしたのは、松井繁選手。昨年は出場できなかったこの大舞台のトライアルで順調に成績を残し、狙いどおり決定戦・1号艇を得ました。ピットでは、地元の期待を背負った重圧を感じさせない、普段と変わらないリラックスした面持ちです。整備士と談笑する姿は普段の一般戦と変わらず、よほど、レースに自信があるのだと思わせる落ち着きぶりでした。
2号艇・魚谷選手もレース前のインタビューで「自分が一番仕上がっている」と言い切ったほど、機力に自信があるのか、ピットでは同期の原田幸哉選手と談笑している姿が見られました。
3号艇・山崎智也選手はクールな表情で試運転をしつつ、顔見知りの記者と休憩室で話しこむなどマイペースに過ごしていました。
プロペラ調整室に、15時ごろまで入って調整していたのは、4号艇・瓜生正義選手。どうやら苦戦しているようで、岩崎正哉選手にアドバイスをもらいながら、正解を探り当てていました。
5号艇・中村有裕選手は、ほかの選手と交わることなく一人で集中力を高めているといった様子。MB記念の優勝戦前にも行っていたストレッチをここでも済ませ、あの時と同じ優勝へ向け気合を注入していました。
6号艇・坪井康晴選手は、ほかのレースのボート揚げを最後まで手伝ったり、地元の同期・横澤剛治選手や服部幸男選手と話すときには笑顔も見せ、決定戦の緊張感はまだないといった表情をしていました。
そして待ちに待った大一番。進入は枠なりで、スタートで飛び出した5号艇・中村選手が1マークへ鋭く切り込みますが、4号艇・瓜生選手の艇にぶつかります。もつれた隙に、コンマ10と狙いすましたスタートを決めた松井繁選手が、インから押し切り、バックストレッチでは早くも独走態勢に。そのまま、危なげない旋回を重ねて、見事優勝を勝ち取りました。
レース前のインタビューでは、「お客さんの声援が力になる!」と語っていた松井選手。金色のジャンパーと決定戦優勝者だけが乗れる艇でウイニングランに登場すると、力をくれた大観衆に丁寧に手を振り、声援に応えながらゆっくりゆっくりピットへ向かいます。
ピットに戻った松井選手がまず向かったのは、普段支えてくれる家族のもと。妻と娘とがっしりと抱き合って優勝を再び噛み締めます。いつも支えてくれるファンと家族に祝福され、満面の笑みを浮かべた王者。この1年の、いや昨年出場できなかった悔しさも含め、たまりにたまったものを自らの力で発散でき、これ以上ない幸せといった様子でした。