12月21日、天気は曇り空となりましたが、冷たい風を受けながら心はピリッと引き締まる思いです。そう、今日は待ちに待った賞金王決定戦トライアル初日。艇界の頂点を極める注目レースの第一戦がここに始まるのです。
取材班がピットに到着したのは13:00、シリーズ戦に出場の選手たちが忙しくピットを飛び回っています。そんな中、いました、いました、あの12名の選手たちが!
■初日第11レース・トライアル
今回運よくエースモーターを手にした瓜生正義選手ですが、早い時間から熱心に整備に取り組む姿が目に留まりました。抜群のモーターを引いただけに、自分との相性を少しずつ合わせていっているといった印象。そして初出場のひとりである坪井康晴選手、彼はぺラの調整を繰り返しています。ぺラ修正室での、この真剣な眼差しをご覧ください。その0.0ミリが勝敗を分けるのです。
少し時間は経って14:00を過ぎた頃、上瀧和則選手と三嶌誠司選手が艇を並べてエンジンの調整。なにやら情報交換もしている様子です。ところで、上瀧選手の着用ジャケットはすごい! 黒地に金でJOの文字、勝利への気迫が感じられます。三嶌選手は、黙々と作業を続けます。
兵庫のエースとして期待が掛かっている魚谷智之選手は、緊張感の漂う空気の中、マイペースに試運転を続けていました。適度にリラックスしており、横西奏恵選手と仲良く談笑している姿も垣間見られます。なんだかいい笑顔でしょう。
そして14:30を過ぎたころ、何度か試運転した後の山崎智也選手。なんと、新聞社の企画の撮影にも気前よく対応していらっしゃる。カメラにもいつもの笑顔で応えます。先ほどの魚谷選手を超える、そのリラックス加減はさすがです。
そして迎えた11レース。結果は5コースからのまくり差しで魚谷選手のV!そして2着につけたのは山崎選手。
艇から降りてカメラに囲まれる魚谷選手はやや興奮気味にも、爽やかな笑顔をみせます。初出場にして、特別気負うことなく1勝を手にした魚谷選手。明日からの活躍が楽しみになってきました。山崎選手は手始めのレースでは、まずまずといった表情。この後も、リズムよくマイペースに得点を上げていけるといいですね。
■初日第12レース・トライアル
狙いどおりのモーターを引き、前検でも「足はいい」とコメントしていた松井繁選手でしたが、今日のピットではピリピリムード。赤岩善生選手にアドバイスをするときは笑顔も見られましたが、調整が思うように行ってないのか、慌しく試運転を繰り返していました。
賞金王初出場の中村有裕選手は、表情が固く緊張感が張り詰めている様子。試運転を繰り返し、足の感触を何度も確かめていました。中村選手とは対象的に落ち着いたように見えたのが、こちらも初出場の中澤和志選手と昨年の覇者・辻栄蔵選手。特に辻選手は、試運転前にもいつものひょうきんな笑顔をみせる場面もありました。
渋い顔で試運転を繰り返したのは、濱野谷憲吾選手。前検後に、「エンジンが全体的にパッとしなかった」とコメントしていましたが、その解消に取り組んでいました。
前検ではエンジンに「全くいいとこなし」とコメントしていた川崎選手は、今日も整備に苦戦していたのか、他の選手がピットに出てきた第8レース前でも、整備室に残って整備士からアドバイスを受けていました。
そして迎えた最終レース。結果はインから押し切った松井選手の圧勝。
誰もが欲しがるトライアルの1勝を手にした松井選手ですが、レース後のインタビューでは、「足自体はいいが、ペラとのマッチングがまだ」と不満のある様子。それは、松井選手が今日の一勝ではなく、最終日の「賞金王決定戦」での勝利を見据えているから。賞金王に向け、一分の気も抜かない王者が、いつ満足する足になるのか。明日からのレースにも大注目です。