薄く雲がかかって時おり、まぶしい西日が差しこむ水面。風はホーム追い風。いよ いよ第35回笹川賞の優勝戦が始まります。
地元からは濱野谷憲吾選手が堂々の1号艇、3号艇には平和島が大得意の白井英治選手。完璧なエンジンに仕上げてきた2号艇・佐々木康幸選手に、回り足抜群でピットでは穏やかな表情で過ごしていた4号艇・田中信一郎選手、スタート巧者5号艇・井口佳典選手、チルト3度に跳ね上げ、一発勝負を狙う6号艇・横澤剛治選手の6名が優勝戦に臨みます。
スタート展示では枠なりの進入。本番でも変わらず3対3の隊形でスタート。横一線のスタート、その中でもトップでスリッ トを通過したのは、5号艇・井口選手。コンマ07と度胸満点のスタートで1周1Mに向かいます。
1周1Mでは、まくりにいく2号艇・佐々木選手と3号艇・白井選手が激しく競り合い、少し外に流れます。その隙をズバッと差してきたのが、5号艇・井口選手でした。「勝手に体が傾きました」と井口選手自身が語るように、展開をうまくついた鮮やかなまくり差し。早くもバックストレッチをトップ独走で走り抜けます。 2番手には1号艇の濱野谷選手、6号艇の横澤選手が競り合うも2Mでは握ってまくっていった横澤選手が流れ、コンパクトに旋回した濱野谷選手が単独2番手に。
3番手には、2周1マークで先マイした3号艇・白井選手。上位隊形はここで確定し、笹川賞優勝戦は、井口選手のSG初優勝で幕を閉じました。
レース終了後、井口選手は観客席のファンの元へウイニングランに向かい、大歓声に包まれていました。きっと心の中でファンや家族に感謝の言葉を叫んでいるのでしょう。井口選手、SG初優勝おめでとうございました